生命観と環境観のパラダイスシフト


蝶の幼虫たちはどんなにお腹が空いても自分の食性以外の葉には見向きもしない。違う葉っぱをそばに置いても餓死してしまう。それは限りある資源をめぐって異なる種同士が無益な争いを避けるために生態系が長い時間をかけて作り出したバランスである。(中略)人だけが他の生物のニッチに土足で上がり込み連鎖と平衡を攪乱している。ヒトはもうすでに何が自分自身のニッチであるかを知らない。ニッチとは多様な生命が棲み分けている場所、時間、歴史が長い間かけて作り出したバランスである。つまり今、私たちが考えなければならないのは、生命観と環境観のパラダイムシフトなのである。

福岡伸一著 「動的平衡2」より
だいぶん前に出版された本ですが、今わたしたちが直面する様々な環境問題を解決するためのヒントが書かれています。

当たり前に供給されているような錯覚さえ覚え兼ねない様々なモノやサービスにあふれる社会では、環境にかける負荷というモノサシが霞んでしまいますが、そんな感覚を呼び覚ましてくれる一冊です。